「運ぶドリブル」と「仕掛けるドリブル」の違いの理解に向けて

前回までは、スペインの育成年代の指導者の養成、育成年代の選手の戦術理解度=プレースピードの違いについて述べてきました。

今回はスペインにおける2種類のドリブルの使い分けについて述べたいと思います。

日本ではドリブルを一つにまとめて表現するケースが多いようですが、スペインでは、6歳あたりから「運ぶドリブル(コンドゥクシオン)」と「仕掛けるドリブル(レガテ)」を分けて指導しています。

 運ぶドリブル コンドゥクシオン 

・いつ?=前にスペースがある時(※ただし前線に優位な選手がいる場合はパスの方が優先順位は高い)や状況が硬直した時

・どこで?=ディフェンスエリア〜中盤エリア

・どのように?=顔を上げる、細かくアウトサイドでタッチ、方向転換時にインサイドも使う。相手がいる場合、遠い足を使用し、スピードは上げ過ぎない

「優位な状況を作り出す」ために、「運ぶドリブル」は非常に大切であり、コンセプトの理解が求められるスキルです。

スペインの代表的な選手ではイニエスタやシルバ、センターバックでもピケやセルヒオ ラモスは多くのシチュエーションで使用しています。

FCバルセロナにおいても、ピケやマスチェラーノが持ち上がるシーンが多く見受けられますが、攻撃のフェーズに移る際、前にスペースがある時に「前進の方法」として使用されます。

「運ぶドリブル」を効果的に使うことで、相手を引きつけることができ、味方の選手がフリーになり、数的優位で攻撃することができます。

パスコースがないときなど、状況が硬直した際には、相手を動かすことで「状況の変化」を作り出すこともできます。

ただしこのドリブルは、ボールを失わないことが前提です。そのため、視野が狭くなり、ボールコントロールが難しくなるような、極端なスピードアップは必要ありません。

総じて、組み立ての時に使用するドリブルと考えると良いでしょう。

 仕掛けるドリブル レガテ 

・いつ?=仕掛ける相手の後ろにカバーがいない、突破した時にチャンスになる時(センタリングやシュート)

・どこで?=アタッキングエリア(主にフィニッシュゾーン)

・どのように?=フェイント(体重移動)→ リズムチェンジ → 突破 その際はスピードアップが望ましい

「仕掛けるドリブル」は前線のエリアでゴールを奪うために、大切なスキルであることは皆さんご存知の通りです。

相手を抜き去るためのドリブルとも言え、センタリングやシュートなど、フィニッシュを視野に入れた場合に使用するドリブルと考えると良いでしょう。

ドリブルの効果と使い分けの理解

スペインの選手は、2つのドリブルの何が違うのかを明確に把握して使い分けをします。

ディフェンスラインで「仕掛けるドリブル」をして奪われた場合、どのようなことが起きるのか?相手が自分の目の前に多くいてスペースがない時に「運ぶドリブル」を使用したら何が起きるのか?というように。

ドリブルに限らず、原理原則を知ることで、サッカーの試合で活かせる=サッカーを知っている「賢い」選手になります。

逆に、原理原則を知らなければ、試合で活かすことができず、宝の持ち腐れになってしまいます。

日本の育成年代ではドリブル=仕掛け・突破・スピードアップのイメージが強く、それが「個の強さ」としても強調されているようですが、大切なのはいつ、どこで、どのように判断し、どのようなドリブルを行うか、という使い分けであり、小学生年代から理解することが望ましく、そうすることで選手の質はさらに上がるでしょう。

 

※こちらも合わせて読んで頂けると理解が深まります。

情況で変わるドリブルの意味 ディフェンスはなぜドリブルするのか
https://fcl-education.com/training/performance/fcl-soccer-analysis/

世界のサッカー強豪国に学ぶ~日本とスペインの育成の違い~
https://fcl-education.com/raising/independence-coaching/fcl-spain-football-world/

 

執筆者
Football Coaching Laboratory編集部

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