栄養論 栄養と体

2017.07.10

栄養における咀嚼(良く噛むこと)の重要性

「人間の基本運動」と言われるものが3つあります。

1.呼吸 2.歩行 3.咀嚼(そしゃく=噛むこと)

これらは全て、私たちが生まれながらに持っている能力です。今回はその中でも「咀嚼」について一緒に考えていきましょう。

もしあなたに歯があるとしたら、一度咀嚼について深く考える必要があります

「よく噛んで食べなさい」

あなたも親御さんや学校の先生からそのように言われて育ってきたことでしょう。

しかし、特に意識しなくても「噛んで」「飲み込める」ため、咀嚼について考える機会は“ほぼゼロ”と言っても過言ではありません。

もしあなたに歯がないとしたら、咀嚼について考える必要はありません。しかし、1本以上歯があるのならば、この機会に深く考えていきましょう。なぜなら、食べ物を体内に取り入れるにあたり、一番最初に働く消化器官が「歯」だからです。

まずは、よく噛むことの8大効果からみていきましょう。日本歯科医師会 推奨“8020運動”よりご紹介します。8つの効果の頭文字を集めた「ひみこのはがい~ぜ」という標語があります。

1.肥満を防ぐ(ひ)

よく噛むと、脳にある満腹中枢が働いて、私たちは満腹を感じます。よく噛まず早く食べると、満腹中枢が働く前に食べ過ぎてしまい、その結果太りやすくなります。

2.味覚の発達(み)

よく噛むと、食べもの本来の味がわかります。人は濃い味にはすぐに慣れてしまいます。なるべく薄味にし、よく噛んで食材そのものの持ち味を味わうよう、心がけましょう。

3.言葉の発音がはっきり(こ)

よく噛むことは、口のまわりの筋肉を使うので、表情がとても豊かになります。口を開けてはっきり話すことが、きれいな発音にも繋がります。元気な顔・若々しい笑顔は、あなたのかけがえのない財産です。

4.脳の発達(の)

よく噛む運動は、脳細胞の動きを活発化します。あごを開けたり閉じたりすることで、脳に酸素と栄養を送り活性化するのです。子どもの知育を助け、高齢者は認知症の予防に大いに役立ちます。

5.歯の病気を防ぐ(は)

よく噛むと唾液がたくさん出て、口の中をきれいにします。この唾液の働きが、虫歯になりかかった歯の表面をもとに戻したり、細菌感染を防いだりして虫歯や歯周病を防ぐのです。

6.ガンを防ぐ(が)

唾液に含まれる酵素には、発ガン物質の発がん作用を消す働きがあると言われ、それには食物を30秒以上唾液に浸すのが効果的、と言われております。

7.胃腸の働きを促進する(い)

「歯丈夫、胃丈夫、大丈夫」と言われるように、よく噛むと消化酵素がたくさん出ます。食べものがきちんと咀嚼されないと、胃腸障害や栄養の偏りの原因になりがちです。

8.全身の体力向上と全力投球(ぜ)

「ここ一番」の力が必要な時、ぐっと力を入れて噛みしめたい時に、丈夫な歯がなければ力が出ません。よく噛んで歯を食いしばることで力が湧き、日常生活への自信も生まれます。

この中でも私は特に以下3つが大切であると感じています。是非ご家族・ご友人にもお伝えください。

・ひ(肥満を防ぐ)

・の(脳の発達)

・い(胃腸の働きを促進する)

頭でわかっているだけでは意味がありません。実践あるのみ。

なぜよく噛んだ方がいいのか、それがわかったところで次は実践に繋げていきましょう。では質問します。現在あなたは、一口何回噛んで飲み込んでいますか?

15回くらいでしょうか? それとも30回以上でしょうか?

「20回!」とすぐに答えられた方、素晴らしいです。

「う~ん・・・」と5秒以上考えても曖昧な数字しか出てこなかった方、ご心配なく。これまで500人以上の方に質問していますが、9割以上の方がすぐに答えられません。

ではここで、右手を胸の前に出して「ありがとうございます」が何文字かを数えてください。

「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」

10文字ですよね。食べ物を口に入れたら噛みながら「ありがとうございます」を3回唱えてから飲み込む習慣をつけましょう。そうすると自然に30回噛んでいることになります。

30回噛む行為において、1~30まで数えることと、「ありがとうございます」を3回唱えることは、「30回噛んだ」という結果は同じですが、過程が全く異なります。1~30まで数えることは退屈で継続に繋がりません。一方、「ありがとうございます」を唱えることは継続に繋がりやすく、それがいつの間にか習慣になっていくのです。

※慣れてきたら、4回・5回と増やすことをオススメします。

カロリーや栄養素・バランスを考えていく前に、まずはよく噛むことへの意識を高め、今日から実践しましょう。それがあなたと、あなたが関わるチームの健康力の土台となっていくのですから。

執筆者紹介
久保山誉 

□保有資格
NESTA(National Exercise & Sports Trainers Association)認定
ニュートリション(栄養学)スペシャリスト
ダイエット&ビューティースペシャリスト
シニアフィットネストレーナー
ファイトライフトレーナー協会認定 ファイトライフトレーナー

静岡県生まれ(1976年)。高校時代よりレスリングを始め、大学時代に総合格闘技に転向。総合格闘技「修斗」にて、世界バンタム級4位まで登りつめる。基本的性分として「めんどくさがり屋」であるため、格闘技時代の減量においても「いかに楽にできないか」「心と身体にストレスがかかりにくい減量法はないか」と常に模索を続ける。その傍らフィットネスクラブで働き続け、個別運動指導6,000回以上、個別栄養指導600人以上を実施。60回以上に亘る自らの減量体験と、クライアントの減量体験を体系化し、「いかに楽にストレスをかけずにボディメイクをするか」ということを、書籍「たった10個のルールで疲れ知らずの極上の健康を手に入れる食事術」とDVD「栄養素を考えない栄養学~なぜ栄養素にとらわれないことが、極上の健康に繋がるのか~」にまとめる

 

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