栄養論 栄養と体

2017.09.14

健康であるための正しい食事のとり方(食後の血糖値を上げすぎないための食事方法)-2

咀嚼に時間をかける!

咀嚼には食物を細かく砕くとともに、食物を選別(魚の骨など食べられないものを除く)し、飲み込みやすくするだけでなく、・消化液の分泌を良くする、顎の発達や歯を丈夫にする、大脳を刺激し認知症を予防する、集中力を高めストレスを緩和させる、目の周りの血行を良くし視力低下を予防する、虫歯や肥満の予防をするなど、さまざまな利点がありますので、食べ物は大いに噛んでいただくことをお勧めします。ただし、単純に消化という観点からでは噛めばかむほど消化・吸収が良くなるというものではありません。

食品の消化吸収速度が遅くなるものには、食物繊維を多く含む食品や糖質を多く含むタンパク質(豆類など)、アミロースの多い穀類(インディカ米など)、難消化性糖質などいずれも消化しにくいものであり、これらは咀嚼の程度にほとんど影響を受けることはありません。要は、咀嚼の程度ではなく、食べ物自体の消化吸収のしやすさによって消化速度は決まってしまうということなのです。

ただし、咀嚼自体には食欲の中枢神経を刺激し、食べすぎを抑制する効果もありますので、調理の際に根菜類や肉類などは具材を大きめに切ることや、具材を軟らかく調理しすぎないこと、丼ものにしないことなどの工夫をすると良いでしょう。

ご飯には酢の物を先にいただく、パンには牛乳やヨーグルトを一緒にとる、さらにドレッシングのかかった野菜サラダなどを先にいただくことなどは食後の急激な血糖上昇を抑制するためにも好ましい方法といえます。緩やかな血糖の上昇は、インスリンの過剰な分泌を抑制することができます。

大切なことは、「食べても直ぐに空腹にならず、胃もたれもなく、次の食事時間の30分程度前にお腹が空く」ように、糖質、タンパク質、脂質、食物繊維などを適正に組み合わせことが、糖尿病を含め健康であるための食事法の基本ということになります。脂質を多くすると滞胃時間を長くすることができ、食後の急激な血糖上昇を抑えることはできますが、多すぎると胃もたれや胃疾患の可能性を高めることにもなります。

食物繊維をとる!

食物繊維は消化吸収を遅らせる作用がありますので、食物繊維を多く含む玄米(含有量約3%)は、食物繊維をわずかしか含まない精白米(含有量約0.5%)よりも消化吸収速度は遅く、食後の血糖上昇は緩やかになります。

食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維(ペクチン、ヘミセルロース、ガム質など)と、水に溶けない非水溶性食物繊維(セロロース、ヘミセルロース、リグニンなど)があり、その働きも異なります。

水溶性食物繊維は一般的に膨潤性が高く、水に溶けると粘り気が強くどろどろになり内容物の容積を増すなどの特徴があります。その結果、消化吸収は緩やかになり、血糖の上昇も緩やかとなります。

非水溶性食物繊維は一般的に有害な物質と結合したり、吸着する作用があり、カドミウムやPCB、ダイオキシン類などの環境汚染物質やタール色素、食品添加物などの有害物質の体内への吸収を防ぐことができます。また、二次胆汁酸や酸化コレステロールなど体内で生成する有害物質も吸着し排泄すます。しかし、摂りすぎは同時に有用なミネラルや油溶性ビタミン類なども排泄してしまうことにもなりますので、あまりに偏り過ぎないように気をつけてください。

食物繊維は体内の消化酵素では消化されないため、小腸を通過し大腸に到達します。大腸では食物繊維の一部は腸内細菌によって発酵分解を受け(非水溶性食物繊維は発酵を受けにくく、水溶性食物繊維であっても海藻類はほとんど発酵されません)、酢酸やプロピオン酸、酪酸などの有用な短鎖脂肪酸のほか、炭酸ガス、水素ガス、メタンガスなどに代謝されます。

一般的に、非水溶性食物繊維は便の量を増す効果(便秘解消効果)はありますが、血清コレステロール濃度を顕著に低下させるなどの効果は認められていません。逆に、グアーガムやペクチンなどの水溶性食物繊維は血清コレステロール濃度を効果的に低下させることはできますが、顕著な便秘改善効果は認められなといわれています。

食べる順番を考える!

全く同じ内容の食事をとっても、食べる順番によって血糖の上昇程度は異なります。食べたものは胃などの消化器官内である程度は混合されますが、そのほとんどは「先に入ったものは先に出て行く」となります。

そのため、消化吸収の良い糖質(炭水化物)だけを先に食べると食後の血糖は急激に上がりやすく、逆に消化吸収にとって抑制的に働く食物繊維や脂質の多いものを先に食べると血糖の上昇は緩やかになります。

サラダや酢の物を食事の終わりごろに食べたのでは血糖値のコントロール効果は全く発揮されなくなってしまいます。

「カロリーが同じであれば、食べてしまえば同じこと」にはなりませんので、日ごろより食品の消化吸収速度を考えた食べ方(順番)に気を配ることも血糖の上昇を緩やかにするためには大切なことと言えます。食べる順番の違いが、内臓脂肪のたまりやすさや基礎代謝にも影響を与えるということです(ダイエット効果にも影響する)。

甘味料は難消化性糖質やオリゴ糖を使用する!

砂糖や麦芽糖(水あめの成分)、ブドウ糖などの甘味料は血糖値を上げやすく、インスリン分泌を強く刺激します。果糖はインスリンの分泌刺激は小さいのですが、内臓脂肪として蓄積されやすい性質があります。

しかし、オリゴ糖や糖アルコールなどの難消化性糖質は甘みが十分にあり、血糖を上昇させることもインスリン分泌を刺激することもありません。

また、これらの難消化性糖質は小腸で消化吸収されることなく大腸に達し、腸内善玉細菌のエサとなり、腸内の環境を整えます。このようなことから、糖尿病食には甘味付け用として日常的に用いることが好ましいでしょう。ただし、急に摂取量を増やしたり、摂りすぎるとお腹が緩くなったり、ガスが多くなることがあります(健康上悪いことではありませんが)。

腸内悪玉菌の減少は腐敗物質の生成量を減少させ、肝臓での解毒代謝負荷を軽減し、発ガン・老化促進物質などの生成も抑制します。逆に「糖質制限食」などにより腸内環境を悪化させますと、抗酸化物質のほとんどないすい臓はアンモニアや硫化水素による多大なダメージを受けることになります。ただし、運動量が多い場合は肉食中心の食事の欠点をある程度は補ってくれます。

化学調味料(グルタミン酸ナトリウム)を多く含む料理/食事は控えめに。

中華料理など化学調味料を使った料理は想像以上に食後の血糖値をあげます。化学調味料に健康上のメリットはありませんので、運動量の少ない方や糖尿病の方は特に注意をして下さい。

 

※こちらも合わせて読んで頂けると理解が深まります。

健康であるための正しい食事のとり方(食後の血糖値を上げすぎないための食事方法)
https://fcl-education.com/nutrition/nutrition-body/health-meal/

 

執筆者紹介
後藤 日出夫(ごとう ひでお)
1946年福岡県生まれ

工学博士 分子化学研究所(Advanced Prophylactic Support Lab)代表
米国ボルグワーナーケミカル社中央研究所、R.S.インガソール研究所。ゼネラルエレクトリック社中央研究所などにて、高分子ポリマーの合成やレオロジーの研究に従事。米国生活以降、多くの慢性的な疾患を発症するも治癒することなく、薬漬けの生活を長きに渡り過ごす。米国最新医療をもとに、各疾患の発症原因とメカニズム、治療方法を分子レベルの化学反応として捉える調査研究の結果、”食の恐ろしさと重要性”を痛感、試行錯誤の末、独自の疾病体質改善食事療法に辿り着き、数十年におよぶ疾患の全てを完治させた。
この自己体験に基づき、多くの人へ実践の輪を広げ、また指導できる仲間の育成を目的に「分子化学研究所(Advanced Prophylactic Support Lab)」を発足。多くの人が健康で楽しい人生を全うし、それを支える健全で安全な社会環境を築くべく日夜奮闘中。
著書「アレルギー・炎症誘発体質の真実」「片頭痛の治し方」「糖尿病がよくならない本当の理由」「女の子のクスリ」「脱認知症宣言」「鉄マグ欠乏症」などがある。

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