栄養論 栄養と体

2017.06.22

信じられない輸入農産物の残留農薬

信じられない輸入農産物の残留農薬基準

農薬は取り扱いを間違えると非常に危険、且つ、人体に有害な化学物質ですが、農作物に使用されている多くの農薬は太陽光や土壌中のバクテリアなどにより分解され、植物に吸収された農薬も植物体内で代謝され無毒化されます。

日本では、農作物の収穫後に農薬を使用することは禁止されていますが、欧米では収穫後の貯蔵や遠距離への輸送のための収穫後にも農薬を使用することが認められています(収穫後に使用される農薬をポストハーベスト農薬といいます)。

残留農薬基準に輸入用と国産用はありませんので、諸外国ではポストハーベスト農薬以外にも収穫直前に農薬を散布できることから、概して輸入中心の農産物の残留農薬基準は驚くほど緩やかな基準値となってます。

例えば、有機リン系殺虫剤マラチオンでは米0.1ppmですが小麦や豆類は8ppmと米の80倍濃度が基準となっています。スミチオンについても米は0.2ppmですが小麦は50倍量の10ppmであり、有機リン系の農薬のレルダンは米0.1ppmに対して100倍の10ppmが小麦の基準となっています。 また、有機リン系クロルピリホスは蕎麦やほうれん草は0.01ppmですが茶葉は1000倍の10.0ppmであり、中国からの輸入茶葉がこの基準値を超えていたとの報道は記憶に新しいところです。要は残留農薬基準そのものが、「食品の安全」をベースに決められたものではなく、貿易上の力関係が優先された結果のように推測されます。

なお、国内では発がん性に問題があるとして製造・販売・使用が認可されていない農薬が、ポストハーベスト農薬(OPPやTBZ、イマザリルなど)として、輸入レモン、グレープフルーツ、オレンジなどの柑橘類やバナナ、ライチ、マンゴスチンに、“農薬”としての扱いではなく“食品添加物”の名のもとに輸入が許可されています。

ただし、これらのポストハーベスト農薬が使用された果物類は、売り場では消費者がその危険性が判断できるように、「イマザリルを使用」などと有害な農薬が使用されている旨、その表示が義務づけられています。食品の安全性については消費者自身の判断にゆだねられていることはあまり知られていないのではないでしょうか。

子供は特に弱い有機リン系の残留農薬!  

有機塩素系農薬は効きが長く続くなどの特長はありますが、逆に自然界で分解されにくく環境汚染問題を引き起こすなどの理由のため、今日では自然界で分解しやすい有機リン系農薬が主流となっています。元々、有機リン系化学物質は第二次世界大戦中に神経ガス(サリンやVXガスなど)として研究されていたもので、害虫のみならず人体にも少なからず神経毒として作用する性質を備えています。脳内の酵素の働きを阻害し、神経を過剰に刺激し学習障害、記憶障害、うつ、視力障害、低体温、認知障害などの原因ともなります。

多くの場合、有機リン系農薬の曝露や摂取に気づくことはなく、めまいや吐き気の原因となることや、成人では「自律神経失調症」、「メニエル症候群」、「更年期障害」、「うつ病」、「パニック障害」、「不安神経症」などの診断を受けることがあるといわれています。体内に吸収された有機リン化合物は解毒酵素により無毒化されますが、この酵素活性は遺伝子的に個人差が大きく100人中3~4人の割合で非常に活性の低い人がいるそうです。

酵素活性は人種的に、白人>黒人>東洋人>エスキモー人の順に高く、子どもは特に酵素活性が低いといわれています。酵素活性が低くければ低い人ほど、中枢・末梢神経疾患、アレルギー疾患、化学物質過敏症などを発症しやすくなるということになります。

有機リン系農薬トリクロルホンとスギ花粉症に関する動物実験の結果から推測すると、体重25Kgの子どもが、農薬残留基準内トリクロルホン0.1ppmを含む小麦から作られた食パン1枚を食べるだけで花粉症を発症するに充分な量となります。小麦グルテンのアレルゲン反応は陰性であるが、小麦製品でアレルギー症状を呈する場合には、有機リン系の残留農薬の影響も疑ってみる必要があるでしょう(国産小麦で症状が改善される場合が多々あります)。

詳細については拙著「あなたの知らない化学物質汚染食品の恐怖」理工図書を参照ください。

執筆者紹介
後藤 日出夫(ごとう ひでお)1946年福岡県生まれ

工学博士 分子化学研究所(Advanced Prophylactic Support Lab)代表 米国ボルグワーナーケミカル社中央研究所、R.S.インガソール研究所。ゼネラルエレクトリック社中央研究所などにて、高分子ポリマーの合成やレオロジーの研究に従事。米国生活以降、多くの慢性的な疾患を発症するも治癒することなく、薬漬けの生活を長きに渡り過ごす。米国最新医療をもとに、各疾患の発症原因とメカニズム、治療方法を分子レベルの化学反応として捉える調査研究の結果、”食の恐ろしさと重要性”を痛感、試行錯誤の末、独自の疾病体質改善食事療法に辿り着き、数十年におよぶ疾患の全てを完治させた。この自己体験に基づき、多くの人へ実践の輪を広げ、また指導できる仲間の育成を目的に「分子化学研究所(Advanced Prophylactic Support Lab)」を発足。多くの人が健康で楽しい人生を全うし、それを支える健全で安全な社会環境を築くべく日夜奮闘中。著書「片頭痛の治し方」「糖尿病がよくならない本当の理由」「女の子のクスリ」「脱認知症宣言」「鉄マグ欠乏症」などがある。

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