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2017.04.07

有害化学物質と子供の健康 半世紀の食生活の変化

①摂取カロリーや食事内容の変化

食生活の大きな変化といえば、肥満者も増加していることだからやはり”食べすぎかな~!”と思われる方も多いのかもしれませんね。

ところが、国民1人当たりの平均カロリー摂取量を見てみますと、戦後充分な食べ物がなく多くの人たちが栄養失調の状態であった時期に比較しても、今日の摂取カロリーはむしろ少なくなっているのです(厚労省データ;1946年は1903キロカロリー、1975年がピークの2226キロカロリー、2014年は1863キロカロリー)。

実は、交通機関の発達、仕事の分業化、ソフト産業の発展などによって、日常生活での力仕事や体を動かす機会が少なくなり、国民の平均基礎体温はこの50年間に約1℃も低下したと言われています。基礎体温が1℃低下すると、代謝量は12%低下し、免疫力は30%低下するとも言われています。今日の肥満者の増加は、平均的にみると摂取カロリーの増加が原因ではなく基礎代謝量の低下(低体温)が原因だということになるようです。そして、病気にも罹りやすい体質にも・・・・。

また、食事内容の変化を見てみますと次のように簡潔にまとめることができます。

・米の摂取量が激減し、高脂肪・高タンパク質食品の摂取量が増加した  

・植物油を多くとるようになった(精製・加工植物油、トランス脂肪酸の問題)

・輸入食品を多くとるようになった(自給率低下、残留農薬の問題)

・自然食品は少なく加工食品を多くとるようになった

・環境汚染が広がり食事を通して環境汚染物質を摂取するようになった

このいずれもが健康を害す原因となり、生活習慣病や慢性病、原因不明の病気といわれる疾患の原因として関わっているのですが、特に最近その有害性が顕著に認識されるようになった環境汚染物質(5月度)、輸入食品の残留農薬(6月度)、精製・加工植物油(7月度以降)の有害性にについて説明します。

②食品とともに摂取される有害化学物質

私たちは一生の間に、ドラム缶(容量180リットル)300本分以上もの食べ物を、口にするといわれています。その食べ物によって私たちの体が作られ、健康であり続けることや病気に陥ることがほぼ決まってしまいます。

食品の中にほんのわずか含まれる有害化学物質であっても、体内への蓄積性の高い物質ですと、知らず知らずのうちに高濃度に蓄積し、ある量を越えてしまうと一気に症状として現れてくるようになります。

私達が日常の飲食物から摂取している有害物質としては、加工食品などに含まれる食品添加物(保存料、漂白剤、発色剤、酸化防止剤など)、穀類や野菜、果物の残留農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤、防バイ剤など)、養殖、養鶏、畜産食品の抗生物質や合成抗菌剤、魚介類などに含まれる環境汚染物質(DDT、PCB、有機水銀、カドミウム、ダイオキシン類、放射性物質など)、自然の飲料水や食品に含まれる亜硝酸塩.カドミウム、ヒ素などがあります。

ところで、食品添加物や残留農薬の危険性については多くの方々にも異論のないところでしょうが、解決済みであるはずの環境汚染物質問題が何故今頃に脅威になるのかについては疑問をお持ちの方も多いのかも知れません。実は、この環境汚染物質こそが原因不明とされる病気などに大いに関わっていると考えられるのです。

DDT(有機塩素系殺虫剤)やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシン類といった自然界で分解されることのない化学物質は、大気中に超微粉として気散し、大気流に乗って移送され、上空で冷却・凝縮、落下し、その周辺の海域を汚染します。

その後、プランクトンによる1次濃縮が起き、それを捕食した小魚による2次濃縮、その小魚を捕食した大型魚による3次濃縮というように生体濃縮され、最終的に人が口にすることになります。

自然界では食物連鎖が1段階上がるごとに下位生物の10倍量が上位生物により捕食されるといわれ、分解されない化学物質が取り込まれると食物連鎖が1段階上がるごとに10倍に濃縮されることになり、食物連鎖が高次になるほど指数関数的に有害物質の濃縮は進みます。

一旦、環境に負荷された有害環境汚染物質は薄められることはあっても決して地球上から消失してしまうことはないのです。今日、開発途上国などからの環境汚染はまだまだ拡大されつつあるのが現状です。

執筆者紹介
後藤 日出夫(ごとう ひでお)
1946年福岡県生まれ

工学博士 分子化学研究所(Advanced Prophylactic Support Lab)代表
米国ボルグワーナーケミカル社中央研究所、R.S.インガソール研究所。ゼネラルエレクトリック社中央研究所などにて、高分子ポリマーの合成やレオロジーの研究に従事。米国生活以降、多くの慢性的な疾患を発症するも治癒することなく、薬漬けの生活を長きに渡り過ごす。米国最新医療をもとに、各疾患の発症原因とメカニズム、治療方法を分子レベルの化学反応として捉える調査研究の結果、”食の恐ろしさと重要性”を痛感、試行錯誤の末、独自の疾病体質改善食事療法に辿り着き、数十年におよぶ疾患の全てを完治させた。
この自己体験に基づき、多くの人へ実践の輪を広げ、また指導できる仲間の育成を目的に「分子化学研究所(Advanced Prophylactic Support Lab)」を発足。多くの人が健康で楽しい人生を全うし、それを支える健全で安全な社会環境を築くべく日夜奮闘中。
著書「アレルギー・炎症誘発体質の真実」「片頭痛の治し方」「糖尿病がよくならない本当の理由」「女の子のクスリ」「脱認知症宣言」「鉄マグ欠乏症」などがある。

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