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2017.04.10

精神統一と心身統一 呼吸と姿勢の重要性

前回までは精神と根性の違いについてお話を進めてきましたが、では具体的にいかに理性と本能、そして肉体という三つを一つにするのか?つまりは心、技、体とバラバラになってしまっているものを本来の心技体という自然体に戻すか?ということについてお話を進めていきたいと思います。 

息遣いに全ては表れる。

昔から日本には身体言葉と言われる、身体を用いて心の状態や精神状態を意味する言い回しがたくさん存在します。「肩の力を抜いていこう」「肩の力を抜いていきなさい」この時に使われる「肩の力を抜く」とはいったいどういう事でしょうか。

肩とは権威や威力などを表す部位でもあると言えます。肩肘を張る、肩の荷が下りる、特に男性は肩にプライドが表れやすいとも言えます。なぜ肩がぶつかるとイラッとするのか 特にこれは男性によくみられる反応でもあります。肩が凝る時とはどういう心理状態や精神状態の時なのか?

実力以上のことをしようとする時、実は本心からしたくはないけど、仕方なくやらなければならない時、もしくはかっこつけようとしている時など、つまりは頭で考えている理想の自分と心が感じている等身大の自分との誤差が大きくなるほど肩に力は入りやすくなるものです。肩に力が入り過ぎていれば地に足が着かず無駄に力が入り過ぎて空回りしてしまい上手くいくものも上手くいかなくなるものです。

人生には必ず失敗というものがついてまわります。失敗を恐れるからこそ人は努力をする動物なのです。しかしその結果余分な緊張が失敗を引き起こすこともあります。それでも緊張する事は必要な事です。しかし適度な緊張をするとは非常に難しい事とも言えます。その逆に全く緊張しない、怖いもの知らずでも、良い精神と心そして肉体の状態であるとは言えません。このような過緊張、もしくは緊張しないという状態は心、技、体が一つにまとまっていないとも言えます。気持と身体がまとまっていない時とは息が乱れている時と言えます。

息が合わない、気が合わない、これは自分と他人との関係を意味するだけでなく自分自身の心身状態、精神状態なども同じことが言えるのです。気分がいい、気分がすぐれない、機嫌がいい、機嫌が悪い、気の状態とは息、つまりは呼吸の状態と言えるのです。そしてその呼吸の状態は身体にはっきりと表れます。

「肩で息をする」や「息が上がる」とは単に心肺機能が弱いという事ではありません。どんなに辛くて苦しいトレーニングを積んできたからと言っても試合当日、肩に力がはいってしまったら失速するものです。「今まで辛くて苦しいトレーニングを重ねてきたのだから自信をもってやりなさい」と叱咤激励されても残念ながらそんな簡単に気持ちを入れ替えて試合に無心でのぞめるものではありません。

しかも、息を詰めて気合いを入れて耐え忍ぶ事しかトレーニングで学んでいないとしたならば、そこで身につけたのは「肩に力を入れる事」でしかないのです。なぜ練習では上手くいくのに試合では本領発揮出来ないのか?

今回のテーマでもある 「精神統一と心身統一」つまりは統一するという事。この統一するとは単に頭の中で出来る事ではありません。実は思考をまとめるというのも単にその思考するということだけに集中できる環境にあるならば難しくはないのですが、試合のように相手がいて観客がいて、その中で上手くやりたい、失敗してはいけないという自分がいる、という様々な異なるストレスの中で冷静かつ平常心を保ってプレーするという能力が求められるのです。その為には呼吸と姿勢ということが重要になってくるのです。

次回も引き続きこの「統一する」為のヒントを交えながら考えていきたいと思います。

 

※こちらも合わせて読んで頂けると理解が深まります。

 

精神統一と心身統一シリーズ

第二回目 精神統一と心身統一 呼吸と息遣い
https://fcl-education.com/training/performance/fcl-posture-breath-football/

第三回目 精神統一と心身統一 顎を引き、脇を閉め、腰を入れる
https://fcl-education.com/training/performance/fcl-football-breath-posture/

 

 

執筆者紹介
内田真弘 
1970年3月10日生まれ

神奈川衛生学園専門学校 東洋医療総合学科  教員
横浜国際プールはりきゅうマッサージ室    室長
筑波大学 理療科教員養成施設       非常勤講師
東京衛生学園専門学校 東洋医療総合学科    非常勤講師
東京衛生学園専門学校 臨床教育専攻科     非常勤講師
ヒューマンアカデミー横浜校 トレーナー科     非常勤講師

ドイツ VPTアカデミー 認定 スポーツフィジオセラピスト
ドイツ VPTアカデミー 認定 PNF 

神奈川衛生学園専門学校東洋医療総合学科卒業後、ドイツ、フェルバッハにあるVPTアカデミーフィジオクラスに招聘され、スポーツフィジオ、マニュアルセラピー、PNFなどのアシスタントを務め、帰国後は各種専門学校での講義、治療院での患者さん、アスリートの治療、指導にあたる。日本サッカー協会主催の第56回サッカードクターセミナーでは「スポーツ競技に対するゼロ式姿勢調律法の有効性」を講義。神奈川体育センター主催のアスリートサポート講座での姿勢と呼吸についてのセミナーや、神奈川県体育協会主催での「PNF]セミナーなど各地で講演なども行う。指導しているアスリートもプロ野球、スピードスケート(オリンピック日本代表選手)、フィンスイミング日本代表、プロボクサー、サッカー、レスリング、テニス、ダンスと幅広く行う。

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